水とりや氷の僧の沓の音

【超現代語訳】

現代語訳松尾芭蕉野ざらし紀行 奈良に出る道で、
「春になれば、名前のない山ですら霞がかって神秘的になるもんぞ」
と詠んで、名もなき芭蕉、二月堂に籠ってお水取りを迎えた。
「浮寝の水鳥よ、氷を割り歩く僧侶のくつ音が聞こえてきたぞ。飛び立つときじゃ。」
訳:Rockets

全文超現代語訳「超解芭蕉野ざらし紀行」

【野ざらし紀行原文】

奈良に出る道のほど
 春なれや名もなき山の薄霞
二月堂に籠りて
 水とりや氷の僧の沓の音

⇒ 野ざらし紀行の日程表と句

【解説】

「水とり」を単に「お水取り」と解釈するだけでは面白さに欠ける。ここでは「水鳥」の意を含むと考えた。

二月堂
東大寺大仏殿の東側にある仏堂で、芭蕉が訪れた時には再建されて16年目。その堂宇が現在も残っている。「お水取り」は、芭蕉の時代には旧暦2月1日から14日間行われていた修二会の中の儀式で、7日と12日の深夜、若狭井の水を汲み取るもの。現在では3月13日午前1時30分からお水取りが行われる。
水とりや氷の僧の沓の音
芭蕉翁発句集(蝶夢幻阿1789年)には「水とりやこもりの僧の沓の音」とあり、「氷」は「籠」に掛けられているとの説がある。

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