しのぶさへ枯て餅かふやどり哉

【超現代語訳】

現代語訳松尾芭蕉野ざらし紀行 熱田神宮を参拝したが、境内の荒れ様は凄まじかった。小社は縄で指し示し、その中に石を置いて磐座にしとる有様。蓬や忍草が生え放題じゃったが、ワシは、かえってそこに惹かれたわい。
「偲ぶ気持ちもなくなって、今日食う餅を買うて気付いたんじゃ。これぞ、ついに旅が栖になった証拠やで。」
訳:Rockets

全文超現代語訳「超解芭蕉野ざらし紀行」

【野ざらし紀行原文】

熱田に詣
社頭大イニ破れ、築地はたふれて草村にかくる。かしこに縄をはりて小社の跡をしるし、爰に石をすえて其神と名のる。よもぎ、しのぶ、こゝろのまゝに生たるぞ、中ゝにめでたきよりも心とゞまりける。
 しのぶさへ枯て餅かふやどり哉

⇒ 野ざらし紀行の日程表と句

【解説】

熱田神宮で芭蕉は変わった。何かを得なければならないという焦りが消え、心のままでいいんだという思いが生まれる。そして、熱田神宮参拝を境にして、以降の旅の雰囲気が大きく変わる。この旅は蕉風を確立した旅とも言われるが、ここに大きな転機があったと言えるだろう。

熱田
熱田神宮。三種の神器の一つ天叢雲剣が祀られている。
しのぶさへ枯て餅かふやどり哉
「熱田皺筥物語」(扇川堂東藤1696年)に、「神前の茶店にて」の前書きで「しのぶさへ枯て餅買ふ舎かな(芭蕉)しわびふしたる根深大根(桐葉)」。

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